全国青年司法書士協議会で検討した今般の武富士会社更生手続きに関する
問題点です。
やはり、武富士の現経営陣や会社更生手続き申立代理人が会社更生管財人に
就任することは続きの公平性や適法性確保のために問題があると思います。
公平性の保てる管財人の選任や第三者機関の設置などの必要性が問われると
考えます。
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1 武富士会社更生申立
平成22年9月28日 代表取締役・吉田純一
申立代理人・保全管理人・小畑英一弁護士
負債総額4336億円。うち過払債権は、現段階で11万3000人1713億円だが、
潜在的過払債権者が膨大にいる(200万人2兆円とも)。
武富士の倒産は、過去、「高金利」「過剰融資」「過酷な取り立て」という「サラ金三悪」
をまさに具現化したビジネスモデルをしてきた会社にとって必然的な結果である。
ただし、今回の会社更生の申立てについては、会社更生申立代理人の小畑英一
弁護士が保全管理人に選任されるなど、手続き上の問題点も浮き彫りになっている。
それ以前に、会社更生申立て以前の武富士の過払い債権者に対する対応
(社債権者に対する償還を優先させる一方で過払い債権については支払いを不当
なまでに延ばす等)からみると、会社更生手続きを用いることにより詐欺的までに
過払い債権を失権させることに目的を据えた申立てであったと言わざるを得ない
(まさに過払いロンダリング)。
これにつき、このような会社更生がまかり通ってしまうと、アコム、プロミス、アイフル
など過払い債権の失権を目的とした不当な会社更生手続きを選択させて追随を許し
てしまう事態に陥りかねない。
2 問題性
① 会社更生法濫用問題
→法の目的(1条)「債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整」。
開始決定を通知すべき者に対し通知がなされなかったとしても、そのものに
対する更生手続き開始の効力の発生は妨げられないとすると、武富士は
全件引き直しをして、過払い債権者を把握している。そもそも、武富士は、
利息制限法超過の貸付自体が借主の窮迫・無知に乗じて貸付を行い多大な
利益を得ていたのにもかかわらず、過払いに気付いていない債権(過払金)を
失権させることは背理、濫用ではないか。
②DIP型(経営陣が更生計画などに関与する手続)問題。
→原則管理型となる会社更生が、DIP型の会社更生を用いることができるケース
としては、現経営陣が事業者管財人として選任されるには次に掲げる要件を
すべて満たす必要がある。
ア、現経営陣に不正行為等の違法な経営責任の問題がないこと
イ、主要債権者が現経営陣の経営関与に反対していないこと
ウ、スポンサーとなるべきものがいる場合には、その了解があること
エ、現経営陣の経営関与によって会社更生手続きの適正な遂行が
損なわれるような事情が認められないこと
代表取締役吉田純一氏の経歴
平成15年12月当時会長の武井保雄氏が盗聴事件で逮捕
平成16年1月コンプライアンス統轄室長、同年8月に同統括部長就任
平成18年9月武富士に批判的な報道をしたジャーナリストや週刊誌に対して
言論を封殺するために名誉棄損訴訟を提起したとして東京地裁において
損害賠償責任が認められる。
平成19年12月執行役員兼統括部長就任
平成20年6月取締役兼執行役員就任
平成21年1月営業統括本部(創業家の影響力が非常に高い部署のひとつ)
副本部長就任
→平成16年創業者武井保雄 盗聴で有罪、平成20年5月16日業務改善命令
の経歴、取締役の関与。取締役、申立代理人が管財人になってよいのか
(67条3項、 100条、99条 取締役等に対する損害賠償責任を追及される
可能性がある者は管財人になれない)
また、2004~2010年度おいて、上位5順位の株主(創業家一族および関連会社)
に対する配当はおよそ330億円。また、過払い請求の増加に係らずこれに対する
引当金は、年々減少させている。
これにつき、違法に剰余金の配当を行った可能性が高い。
申立人が推薦する者や会社更生申立代理人等の利害関係人は選任すべきでない。
→物的担保権をも拘束する最も強力な放擲倒産手続きである更生手続きにおいては
手続きの公正性・透明性の確保が強く要請されるから、それを疑わしめるような
利害関係を有する者を手続きの適法性を保持する役割を持つ法律家管財人に
選任することは許されない。
③ ロプロ問題
→DIP型採用。ロプロ取締役、申立代理人(小畑英一弁護士)が管財人になった。
取締役、創業家の責任は追及されず。弁済率3%。ロプロ復活への道筋がつけ
られた。
小畑英一弁護士が法律家管財人に選任されることは、ロプロと同様の手続が
とられるおそれがあり、選任を認めるべきではない。
④通知問題
→知れたる更生債権者には、①公告事項である更生手続の開始決定の主文、
②管財人の氏名又は名称、③更生再検討の届け出期間及び調査期間等を
通知しなければならない(43条3項.43条1項)。
保全管理人は、新聞公告、テレビCM等で呼びかけるとしている。
近年過払金の存在が一般的になったといえ、未だ、利息制限法超過部分の
支払いが無効であることを知らない方が多数存在する。新聞、テレビ等の媒体を
見ない人や公告CM等によっても自らが過払債権者に該当するということを認識
できない方がいる。
本来知れたる債権者として弁済を受けるべき方の犠牲において弁済率を確保
すべきではない。
⑤更生債権者となることが見込まれる者の一覧表の問題
→会社更生申立書には、更生債権者となることが見込まれている者の氏名
その内容を 記載 しなければならない(規則13条1項5号)。
開始前会社は、更正手続開始の申し立て以降、過去に取引が終了した分を
含む金銭消費貸借取引について、利息制限法の制限利率での引き直し計算を
完了している。
そこで、会社更生法の目的である「債権者、株主その他の利害関係人の利害を
適切に調整」を遂行するためにも、また、財産状況報告集会のためにも、開始前会社
に対して、引き直し計算後に判明した各過払債権者名及び債権額を記載した
更生債権者一覧表を再度提出するよう指導すべき。
⑥架空請求問題
→過払いなのに顧客に弁済を求めている(コールセンター)。
引き直し計算が終了していると言われており、また、法律家である弁護士が
保全管理人についている会社が、支払義務のない顧客に返済を求めること自体、
架空請求ではないか。
共益債権として返ってくればよいというものではないし、破産手続きへ移行した
場合、その支払い分が返還されるか保証されていない。
⑦財産状況報告集会
→武富士の会社更生問題は多数債権者の重大な関心事項であるので、
財産状況報告集会は必須である。関係人から直接意見聴取をすることができ、
更生手続き全体の信頼感を得られこととなる。
武富士の会社更生問題は多数債権者の重大な関心事項であるので、情報提供の
充実と更生手続きに対する信頼性の向上の観点からも財産状況報告集会は
必須である。したがって、上記会社更生開始決定申立事件について会社更生
手続開始決定がなされる場合には、財産状況報告集会(会社更生法85条)を
開催すべきである。
⑧過払金ロンダリング問題
→過払金返還請求権の免責失権。ロプロと同じやり方ではないのか。経営者や
創業者の責任追及をされるという前例を作らないと同様のケースが相次ぐ
危険がある。
現取締役や会社更生申立代理人弁護士を管財人に選任し、知れたる債権者に
個別直接通知をせず、CM等に代えることが出来るとする運用が認められれば、
自分が債権者であるという認識がないまま、過払金返還請求権を失権させて
しまうという、裁判所も含めた過払金ロンダリングと言われかねない。
⑨企業存在の社会的意義を問う問題
→過払いを切り捨てて再び貸金業をするという安易なやり方を許してはならない。
スポンサーによっては、債務の残る債務者に対し分割弁済に対応しない手法が
取られる可能性もある。また、武富士の過払い債権者が自分の顧客情報を抹消
したくても、会社更生を認めてしまうことによって、完済した顧客や長年取引を継続
してきた顧客の情報が今後も利用されていくことになる。
武富士は、「市場からの撤退」が社会の自然な流れになるのではないか。